Sunday, September 19, 2010

ペニシリン(その5):ペニシリンの抽出


ペニシリンの抽出:
まずはじめは、培養液のろ過は使用済みのパラシュートの絹が利用された。
つぎに、低温で酸性化しエーテル(後にはアミルアセテート)と混合振蕩。
後者は低温室でおこなわれたが、その作業は大変であった。

ヒートレイはこれを改良して "counter-flow exchange" と呼ばれる方法を用
いた。酸性化した培養ろ液を、長いチューブの上流からながす。下流から
エーテルを上流にむかって上昇させる。お互いの液面がこうして最大限に
接触する時間がゆくられる、そのあいだにペニシリンがエーテル層に移行。
エーテル層を集め、今度はそれを下流にながす、一方アルカリ水を上昇さ
せる。そしてアルカリ水を集め、"freeze-drying"する。この凍結乾燥法は、
1935年アメリカで開発されミルク、血漿、有機物資に応用された。液体窒
素かアセトンドライアイスで低温化した状態で真空にすると、水分は蒸発
し粉末状態になり長期保存にたえる。

1940年3月中旬にはチェンはこうして、ペニシリン100mgあつめた。
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Gwyn Macfarlane, Howard Florey- the making of a great scientist,
1980, Oxford University press. から翻訳。


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